ロールスリット加工とは? 大型ロールを使用可能なサイズにする方法
ロールスリット加工とは? 大型ロールを使用可能なサイズにする方法

周りを見回してみますと、ロールスリット加工はいたるところで行われています。お菓子のパッケージ、ペットボトルラベル、電化製品の絶縁体、そして電子機器の箔に至るまですべて、大型ロールの状態から始まります。しかし、日常の製品で見られるような、きれいにカットされたサイズになる前に、巨大なロールから小さくて使いやすい幅に正確にスライスする必要があります。

そこでロールスリット加工の出番です。ロールスリット加工は、各業界で、紙、プラスチック、フィルム、金属箔等の大型ロールを必要なサイズに正確にカットするための重要な製造工程です。ロールスリット加工がなければ、これらの材料は製造中、容易に使用したり、活用したりできないでしょう。

それでは、ロールスリット加工はどのように行われるのでしょうか。詳しく見てみましょう。

ロールスリット加工とは?

ロールスリット加工とは、大型ロール状の材料をより細く、より使いやすい幅にスリット(切断)する工程です。紙、プラスチックフィルム、粘着テープや金属箔などの多くの工業材料が幅広のロール状で製造されており、そのまま使用するには大きすぎます。これらの材料を様々な用途に適応させるためには、より細い幅に正確に切断する必要があります。そこでロールスリット加工が役立ちます。

この工程は、包装、印刷、電子機器や自動車製造で広く利用されています。例えば、食品を包装するプラスチックラップ、ペットボトルラベルや電子機器内部の絶縁体など、いずれも大型ロールから始まり、適切なサイズにスリットする必要があります。スリット加工により、材料は均一で適切なサイズに切断され、さらなる加工や直接使用する準備が整います。

正確なカットを実現するために、スリッターは特殊な刃を用いて、品質、精度、効率を維持しながら、材料を丁寧に切断します。材質と用途に応じて、最適な結果を得るために様々なスリット方法が用いられます。それでは、主要2種類のロールスリット加工とその比較について詳しく見ていきましょう。

ログスリット加工と巻取スリット加工

材料の素材により、スピード、精度と取扱要件に基づいて、異なるスリット方法を選択する必要があります。最も一般的なスリット方法は、ログスリット加工と巻取スリット加工で、それぞれ特定の用途に適しています。

特徴ログスリット加工巻取スリット加工
速度より速い少し遅い
スリット精度少し低いより高い
材料処理巻出不要巻出、巻取可能
最適な素材粘着テープ、フィルム合成フィルム、金属箔、大型紙ロール
設備サイズ小型大きなスペースが必要

上記の表では、主な違いについて説明していますが、各方法の仕組みを理解することで、それぞれのメリットとデメリットが分かります。

1. ログスリット加工

ポイント:コンパクトな装置で、粘着テープやフィルムを高速に切断するのに最適です。

動作原理

ロールはマンドレル(回転軸)に設置され、高速回転しながら円形の刃が切込みを入れます。その刃はスリットするたびに次のポジションに移動します。

メリット

ログスリット加工は、巻出・巻取が不要なため、高速処理が可能です。この設備は一般的にコンパクトで、費用対効果が高いため、限られたスペースでの稼働に適しています。

デメリット

スリット刃が一度にロール全体を切断するため、巻取スリット加工に比べて精度が低くなります。このスリット工程により、エッジがロールの断面がギザギザになったり、シワが生じたりする可能性があり、品質を維持するために、刃を頻繁に交換する必要があります。さらに、ロールのサイズはマンドレルと刃との距離によって制限されます。

用途

この方法は精度よりもスピードが重視される粘着テープやフィルムに最適です。しかし、滑らかな断面や張力の制御が必要な素材には効果が低くなります。


2. 巻取スリット加工

ポイント: 張力や精度が求められる高価な素材に適しています。

動作原理

まず材料が巻き出され、次に回転刃またはレザー刃を使って小幅にスリットされ、最後に個別のコアに巻き取られます。ロールは層ごとに加工されるため、ログスリット加工とは異なり、ロールのサイズに制限はありません。

メリット

この方法は、高い切断精度と優れた張力制御を実現し、シワ、位置ずれや断面の欠陥を防ぎます。正確で均一な切断が求められる繊細な素材や高価な素材に最適です。

デメリット

巻取スリット加工は、ログスリット加工よりも時間がかかり、複雑な工程を踏みます。そのため、より広いスペース、高い設備コスト、そして正確な張力と刃の位置合わせを行うための細かなメンテナンスが必要となります。

用途

合成フィルム、金属箔、電磁波シールドフィルム、大型紙ロールなどに広く使用される巻取スリット加工は、きれいな切断と高精度な交差が求められる業界に最適です。最善の成果を出すためには、適切なスリット刃を選択することも非常に重要です。次で詳しく見ていきましょう。


巻取スリット加工におけるスリット刃の選択

巻取スリッターでは、主に2種類の刃が使用されます。レザーカットとシェアカット(シアカット)です。レザーカットは、固定されたレザー刃を使用して材料を切断しますが、シェアカットは、回転する円形の刃(丸刃)を使用して、ハサミのような動きで切断します。

1. レザースリット加工 (Razor Slitting)

レザースリット加工は、そのシンプルさと精度で知られる高速加工方法です。薄く鋭い刃を使用することで、材料の無駄と粉塵の発生を最小限に抑えながら、きれいで正確な切断を実現します。この方法は、プラスチックフィルム、紙、箔やラミネートシート等、薄く、柔軟性があり、繊細な材料に特に適しています。レザースリット加工は、「空中レザーカット」と「溝付きレザーカット」の2つの異なる方法によって行われます。

空中レザーカット (Razor in Air)

空中レザーカットは、スリット刃が下支えなしで材料を切断する、シンプルで効率的な切断方法です。しかし、材料に適切な張力がかかっていない場合、この方法では切断線にわずかなばらつきが生じる可能性があります。

溝付きレザーカット (Razor in Groove)

一方、溝付きレザーカットは、下方ローラーに専用の溝を設けて材料を固定し、切断線をガイドすることで、より高い精度と安定性を実現します。また、その溝により、刃の接触点が制御されるため、刃の摩耗も軽減されます。


2. シェアスリット加工(Shear Slitting, シアースリット)

硬質・厚手で、繊維質な素材には、切断力に優れたシェアカットが好まれます。シェアカットは、2枚の回転する円形のナイフを材料の上下に配置し、ハサミのように動いて切断します。シェアカットにはきれいで正確な切断面を実現し、材料の変形を防ぐために、適切な張力制御が不可欠です。シェアスリット加工は、さらに接線スリットと包装スリットに分けられます

接線スリット(Tangent Slitting, タンジェントスリット)

接線スリットでは、材料は下刃の最上部の接線にのみ接触します。この方法は通常、曲線状の切断方向に沿えない硬い材料や曲げにくい材料に使用されます。

屈曲スリット(Wrap Slitting, ラップスリット)

一方、屈曲スリットでは材料が下刃の周りに巻き付くために、均一な圧力と安定したカットを行うことができます。しかし、材料の片面が加工中に曲がったり変形したりする可能性があるため、屈曲スリットは硬い材料には適していません。


シェア刃(丸刃)の選択

シャフト刃ホルダー付きのシェア刃(丸刃)

刃先の角度(トーイン角度)の調整可能性と全体的な切断効率を左右するため、シェア刃の選択は巻取スリット加工において非常に重要です。シャフト刃ホルダー(角度固定ホルダー)付きのシェア刃は、設定された切断角度を維持し、高速製造中、一貫した性能を保証します。非常に安定している一方で、この構成は様々な材料の条件に対応する柔軟性に欠けます。

空圧式刃ホルダー付きのシェア刃(丸刃)

一方、空圧式刃ホルダー付きシェア刃は、刃先の角度の調整が可能で、様々な材料の切断を最適化できる柔軟性を備えています。この構成は、精度と切断断面の仕上がりが最優先される多様な製造環境で特に役立ちます。

適切なシェア刃とホルダーの組合せを選択することで、高速・高精度な切断でも、硬い材料の堅牢なせん断であっても、最適なスリットパフォーマンスを実現できます。

まとめ

適切なスリット方法を選択することは、精度、効率、そして材料の取扱いを最適化する上で非常に重要です。ログスリット加工は、粘着性材料に適した高速で、費用対効果が高い方法ですが、切断精度と処理可能なロールのサイズに制限があります。一方、巻取スリット加工は、より高い精度と柔軟性を備えており、合成フィルム、金属箔、そして大量生産に適しています。レザー刃またはシェア刃(丸刃)、そしてシャフト式(角度固定)または空圧式(角度調整可能)の刃ホルダーを選択することにより、さらに性能が向上します。

高効率のスリット加工には、レザー刃と丸刃の両法に対応した、YO DEN(友典)の四軸ノンストップ型スリッターをお勧めします。また、オプションで、正確かつ効率的な調整が可能な空圧式丸刃自動位置決めシステムも搭載できます。お客様の加工ニーズに最適なスリッターをお探しでしたら、YO DEN(友典)に今すぐお問い合わせください!

 2025-03-10